今回の電子添文の改訂により、フォシーガは左室駆出率を問わず慢性心不全患者の治療薬として使用いただけるようになりました。


――今回の適応拡大は、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)を対象としたP3試験の結果に基づいて承認されました。一方、左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)に対する有効性を示した薬剤はなく、より大きなアンメットニーズがあります。


緒方:アンメットニーズのある領域に対し、既存薬とはまったく作用機序の異なる治療選択肢を提供できるという点で、大変意義のある適応拡大だと思っています。P3試験の結果を見ると、糖尿病の有無に関わらず、どの心不全治療薬と併用してもきちんと有効性を示していますので、多くの患者さんに使っていただける薬剤です。循環器の医師からの反響も大きく、「ぜひ使いたい」という言葉をたくさんいただいています。

昨年、SGLT2阻害薬として初めて慢性心不全での承認を取得し、慢性腎臓病への適応拡大を申請した「フォシーガ」。同薬を開発したアストラゼネカの緒方史子氏(執行役員 循環器・腎・代謝/消化器事業本部長)と矢島利高氏(メディカル本部 循環器・腎・代謝/消化器疾患領域統括部 統括部長)に、その意義や心・腎領域の事業戦略について聞きました。

SGLT2阻害薬フォシーガ、日本で慢性心不全の承認取得/AZ・小野

国内の患者数は、慢性心不全が130万人、慢性腎臓病が1330万人と推定されています。両疾患への適応拡大によって、SGLT2阻害薬の市場も大きく拡大しそうです。

フォシーガは、左室駆出率が低下した心不全(HErEF)の患者を対象に行ったP3試験「DAPA-HF試験」で、標準治療への上乗せで主要複合エンドポイント(心不全の悪化/心血管死)をプラセボに比べて26%低下。慢性腎臓病患者を対象とした同「DAPA-CKD」でも、主要複合エンドポイント(腎機能の悪化/心血管死または腎不全による死亡)を39%抑制しました。いずれも、2型糖尿病の有無に関わらず有効性が示されており、「心・腎保護薬」としての期待が高まっています。

矢島:慢性心不全の約半分はHFrEFで、残りのもう半分はHFpEF。残念ながら、HFpEF患者の予後を改善する薬剤は今のところ存在せず、本当に待ち望まれている薬剤です。われわれとしても、非常に大きな期待をもって臨床試験の結果を待っています。(編注:HFpEFを対象としたP3試験「DELIVER試験」は今年後半に結果が出る見込み)

慢性心不全では昨年11月、フォシーガがこのクラスの薬剤として初めて承認を取得し、ジャディアンスも適応拡大を申請。慢性腎臓病では、フォシーガが昨年12月に申請を済ませ、ジャディアンスも臨床第3相(P3)試験を行っています。カナグルは糖尿病性腎症を対象にP3試験を実施中です。


AZ SGLT2阻害薬フォシーガ 日本で慢性心不全の効能追加を申請 ..

選択的SGLT2阻害薬フォシーガ(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)について、標準治療を受けている慢性心不全に対する追加承認を、2020年11月27日に取得したことをアストラゼネカと小野薬品工業が発表した。慢性心不全治療薬として国内で最初に承認されたSGLT2阻害剤となる。本承認は、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)を対象とした第III相DAPA-HF試験の結果に基づく。添付文書の「効能又は効果に関連する注意」には、左室駆出率が保たれた慢性心不全(HFpEF)における本薬の有効性及び安全性は確立していないため、HFrEFに投与する旨、記載されている。

フォシーガは、心血管死または心不全による入院を含む心不全の悪化による複合リスクを統計学的に有意に低下させた、初めてのSGLT2阻害薬である。第III相DAPA-HF試験において、標準治療との併用で主要複合評価項目をプラセボと比べて26%低下させた。また、主要複合評価項目の構成項目である心血管死および心不全の悪化の両方において、全体的にリスクを低下させた。試験期間中、フォシーガ投与群では患者21例ごとに1件の心血管死、心不全による入院、または静脈注射による心不全治療につながる緊急受診を回避した。また、本試験における安全性プロファイルは、これまでの安全性プロファイルと一致していた。

DAPA-HF試験は、フォシーガの心血管および腎に対する効果を評価する“DapaCare”という臨床プログラムの一部で、腎については第III相DAPA-CKD試験において慢性腎臓病患者の治療を検証している。さらに、第III相DELIVER試験においてHFpEF患者の治療についても検証中であり、2021年後半に結果が出ると見込んでいる。

フォシーガ添付文書に追加記載された内容

慢性心不全
ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

左室駆出率が保たれた慢性心不全における本薬の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。
「臨床成績」の項の内容を熟知し、臨床試験に組み入れられた患者の背景(前治療、左室駆出率等)を十分に理解した上で、適応患者を選択すること。

[PDF] 慢性心不全治療薬としての SGLT-2 阻害薬について

心不全も腎不全も薬物治療の中心は降圧薬ですが、近年、心臓と腎臓の両方に対する臓器保護作用を持つ薬剤として注目されているのがSGLT2阻害薬です。

SGLT-2 阻害薬のフォシーガ錠が 2020 年に慢性心不全の効能が追加承認され、翌年にジ

SGLT2阻害薬は糖尿病薬から心不全治療薬に進化した(解説:絹川弘一郎氏)-1125

低下させたことから、2020 年以降に心不全患者への適応が拡大され、同ガイドラインにお

「心腎連関」とは、心機能の低下と腎機能の低下が影響を及ぼし合う現象のことです。心臓と腎臓は密接に関連しており、心疾患で心臓の機能が落ちると腎臓の働きが悪くなることがありますし、逆に、腎疾患で腎臓の働きが悪くなると、その影響で心臓の機能が低下することがあります。心不全患者の生命予後は腎機能に大きく左右されることが知られており、慢性腎臓病の患者では心血管疾患のリスクが高まることもわかっています。

フォシーガ、標準治療を受けている慢性心不全で追加承認-AZほか

心臓と腎臓が影響を及ぼし合って互いの機能を低下させる「心腎連関」。糖尿病治療薬として開発されたSGLT2阻害薬が、心不全や腎臓病に対する有効性を示し、治療に新たな展開が訪れています。国内では昨年11月、アストラゼネカの「フォシーガ」が慢性心不全の適応を取得し、12月には慢性腎臓病への適応拡大を申請。日本ベーリンガーインゲルハイムの「ジャディアンス」も慢性心不全への適応拡大を申請中で、慢性腎臓病でも開発の最終段階に入っています。

和物)について、標準治療を受けている慢性心不全(以下、心不全)に対する効能または効果の追加承認を、厚生労働省より取得したと発表した。

アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、オンコロジー、希少疾患、および循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマにおいて、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については または、ツイッター (英語のみ)をフォローしてご覧ください。

フォシーガ 慢性心不全 作用機序movie | ONO MEDICAL NAVI

アストラゼネカの子会社であるアストラゼネカ株式会社は、2013年、フォシーガに関して、小野薬品工業株式会社と日本におけるコ・プロモーション契約を締結。同契約に基づき、小野薬品工業株式会社は、フォシーガ錠の日本における流通および販売を担い、アストラゼネカ株式会社と2型糖尿病および1型糖尿病においてコ・プロモーションを実施している。両社は慢性心不全においてもコ・プロモーションを実施するとしている。

SGLT2阻害剤のダパグリフロジン(フォシーガ®)が「慢性腎臓病」に対して、保険適応を取得しました。 以前.

DAPA-HF試験は、フォシーガの心血管および腎に対する効果を評価する臨床プログラム「DapaCare」の一部。同プログラムではまた、第3相DAPA-CKD試験において慢性腎臓病患者の治療を検証している。さらに、第3相DELIVER試験において左室駆出率が保持された心不全患者の治療についても検証中であり、2021年後半に結果が出る見込みだ。

効能・効果に慢性心不全が追加になった際に、製薬企業による勉強会を薬局内で行い、慢性

緒方:循環器、腎、代謝の領域は、お互いに悪影響を与え合うので、慢性心不全に加えて慢性腎臓病の適応を取得することで、より患者の役に立てると考えています。

本申請は新効能に係るものであるが、本薬の SGLT2 阻害作用及び利尿作用は初回承認時に評価済み

フォシーガは、心血管死または心不全による入院を含む心不全の悪化による複合リスクを統計学的に有意に低下させた、初めてのSGLT2阻害剤。米国食品医薬品局、欧州医薬品庁などで、左室駆出率が低下した心不全の治療薬として承認されている。