12) 医薬品医療機器総合機構,“フォシーガ錠 5 mg,10 mg


フォシーガ、左室駆出率にかかわらず慢性心不全の治療薬として使用可能に/添文改訂


添付文書改訂:フォシーガが左室駆出率にかかわらず使用可能に、アセトアミノフェンが疾患・症状の縛りなく使用可能に ほか【下平博士のDIノート】第119回

AstraZeneca(英国)は、チェコのプラハで開催された欧州心臓病学会の心不全2023年次総会において、第III相DELIVER試験の2つの新たな解析結果から、心不全(HF)の罹患期間にかかわらず、循環器・腎・代謝(CVRM)疾患のさまざまな併存状態におけるフォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)の一貫したベネフィットが裏付けられたと発表した。

第III相DELIVER試験の事前規定された解析として、左室駆出率(LVEF)が40%超の心不全患者におけるフォシーガの治療効果を、HFの罹患期間(6ヵ月以内、6ヵ月超~12ヵ月以内、1年超~2年以内、2年超~5年以内、および5年超)別に検討した。その結果、フォシーガのベネフィットがHFの罹患期間にかかわらず一貫していることが示された。さらに、高齢かつ1つ以上の併存疾患を有し、HF悪化および死亡率の高い、罹患期間が長期にわたるHF患者において、絶対利益が増加した(治療必要数[NNT]:HF罹患期間5年超の患者と6ヵ月以内の患者との比較で24:32)。

CVRM関連の併存疾患の有病率およびさまざまな併存状態でのフォシーガに対する被験者の反応を評価した第III相DELIVER試験の事後解析結果も発表され、同時にJACC Heart Failure誌に掲載された。本解析結果によると、LVEFが40%超のHF患者では、5例中4例以上の割合で他のCVRM疾患を少なくとも1つ併発しており、5例中1例の割合でHFに加えて3つのCVRM疾患を併発していた。また、フォシーガは忍容性が良好であり、その治療ベネフィットはCVRM疾患の併存状態に関係なく一貫していた。

ハーバード大学医学部およびブリガム&ウィメンズ病院の内科学教授で、第III相DELIVER試験の主任治験責任医師を務めるScott Solomon氏は「現在の診療では、罹患期間が長期にわたる心不全患者は、新しい治療を追加しても反応しない、または忍容性が低い進行性疾患に罹患していると見なされる可能性がある。第III相DELIVER試験のデータは、SGLT2阻害薬であるダパグリフロジンによる治療ベネフィットは心不全の罹患期間にかかわらず一貫しており、患者にとって治療が決して遅すぎることがないことを示している。このデータは、心不全におけるダパグリフロジンの有効性に関するエビデンスの拡大を裏付け、ダパグリフロジンが、新たに診断された患者と同じように長期に罹患している患者に対しても役立つことを実証している」と述べた。

また、AstraZenecaのバイオ医薬品事業部門担当、エグゼクティブバイスプレジデントであるRuud Dobber氏は「CVRM疾患が患者そして社会に及ぼす影響は計り知れない。しかしながら、これらの患者に対する診断、治療は不十分であり、CVRM疾患における相互関係も十分に認識されていない。第III相DELIVER試験の結果から、心不全患者が2型糖尿病や慢性腎臓病といった他のCVRM疾患を併発していることがいかに一般的であるかが浮き彫りとなった。今回発表された新たな解析は、あらゆる心・腎疾患に対してベネフィットをもたらすフォシーガの価値をさらに示しており、心不全や他のCVRM疾患を有する何百万人もの患者の治療を根本的に変えるという私たちのコミットメントを強調している」とした。

この研究の対象は、慢性腎臓病で当院に通院されていて、新しくフォシーガ®を内服する予定

アストラゼネカは「フォシーガ錠5mg、10mg(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物、以下フォシーガ)」の添付文書が改訂されたことを機に、「慢性心不全治療に残された課題と選択的SGLT2阻害剤フォシーガが果たす役割」と題して、2023年3月2日にメディアセミナーを開催した。

セミナーでは、はじめに阪和病院・阪和記念病院 統括院長・総長 北風 政史氏より、「慢性心不全治療の現状とDELIVER試験を踏まえた今後の展望」について語られた。

日本では、主な死因別死亡において心疾患による死亡率が年々増加しており、2021年では14.9%と、がん(26.5%)に次いで多かった。心疾患の中でも心不全は5年生存率が50%と予後が不良な疾患であることが知られている。

心不全は左室駆出率(LVEF)の値によって、3つの病態(HFrEF:LVEF40%未満、HFmrEF:LVEF40%以上50%未満、HFpEF:LVEF50%以上)に分類されるが、これまで治療法が確立されていたのはHFrEFのみであった。しかし、このたびDELIVER試験により、フォシーガがLVEFにかかわらず予後を改善するという結果が示され、添付文書が改訂された。

・幅広い層を対象にしている
組み入れ時にLVEF40%を超える患者(組み入れ前にLVEF40%以下であった患者も含む)を対象とした。
・投与開始後早い時点で有効性が示された
主要評価項目である主要複合エンドポイント(心血管死、心不全による入院、心不全による緊急受診)のうち、いずれかの初回発現までの期間は、フォシーガ10mg群でプラセボ群と比較して有意に低下し、この有意なリスク低下は投与13日目から認められた。
・LVEFの値によらず有効性が認められた
全体集団とLVEF60%未満群で、主要複合エンドポイントのうちいずれかの初回発現までの期間を比較したところ、フォシーガ群におけるリスク低下効果が同等であった。この結果から、LVEF60%以上の心不全患者にもフォシーガが有効であることが示唆された。

現在、HFpEFの薬物療法におけるSGLT2阻害薬の位置付けは、海外のガイドラインではIIa、国内ではガイドラインへの記載はない。しかし、DELIVER試験などでHFpEF治療におけるSGLT2阻害薬の知見が蓄積された今、ガイドラインによる位置付けが変更される可能性がある。

続いて矢島 利高氏(アストラゼネカ メディカル本部 循環器・腎・代謝疾患領域統括部 部門長)より「慢性心不全領域におけるダパグリフロジンの臨床試験プログラム」について語られた。

矢島氏はDAPA-HF試験とDAPA-HF/DELIVER試験の統合解析結果について解説し、DAPA-HF/DELIVER試験の統合解析によれば、LVEFの値によってフォシーガの有効性に差はないことが示されていると述べた。

今回、フォシーガの効能または効果に関する注意が、LVEFによらない慢性心不全に変更されたことで、今後、慢性心不全治療がどのように変化していくか注視したい。

■参考文献
1)
2)
3)
本試験はAstraZenecaの資金提供を受けた
4)
本試験はAstraZenecaの資金提供を受けた
5)
6)
本論文作成に当たっては、AstraZenecaの資金提供を受けた


【要旨】
本臨床研究は、糖尿病治療薬の一つであるSGLT2阻害薬ダパグリフロジンが、全世界2 0 か国3 5 0病院・大学における国際共同臨床研究(DELIVER試験)において、心臓収縮性の軽度的かまたは保持された心不全症例に対して心不全改善作用があることを証明したものであり、2022年8月27日ヨーロッパ心臓病学会で発表され世界で最も権威のあるニューイングランドジャーナルオブメディシン(The New England Journal of Medicine、インパクトファクター: 91.245 )に同時掲載された。北風政史医師が我が国における治験責任医師として参画して、本論文の共著者となっている。

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腎疾患診断用バイオマーカー L-FABP情報サイト
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No.42/2020年5月配信号[医療者向け]

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皆さまこんにちは。
「腎疾患診断用バイオマーカー L-FABP情報サイト メールマガジン」No.42をお届けします。

※このメールマガジンは、過去にシミックホールディングス株式会社L-FABP 事業部 と名刺交換をさせていただいた皆様、サイトにアクセスし資料請求いただいた皆様へお届けしております。

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■目次
□腎疾患 最近の話題
□L-FABPとは?FAQ よくある質問
□L-FABP関連文献ピックアップ
□L-FABP展示会・講演会情報
□L-FABP製品に関する資料請求のご案内
□お知らせ
新たなNews LetterをL-FABP情報サイトに掲載しました
□編集後記
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■腎疾患 最近の話題■
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▼SGLT2阻害薬「フォシーガ」の第3相DAPA-CKD試験 慢性腎臓病患者を対象とした有効性により早期終了
(2020年4月2日)

アストラゼネカは、慢性腎臓病患者を対象にSGLT2阻害薬「フォシーガ」(一般名:ダパグリフロジン)の有効性と安全性を検討していた第3相DAPA-CKD試験で、フォシーガによる有益性が当初の想定よりも早期に示されたことを受け、同試験を終了することを決定したと発表した。

詳細はこちら>>


▼尿中L-FABPはSGLT2阻害薬による腎保護作用の評価項目として、下記のような論文でも活用されています。

(1)Empagliflozin, an Inhibitor of Sodium-Glucose Cotransporter 2 Exerts Anti-Inflammatory and Antifibrotic Effects on Experimental Diabetic Nephropathy Partly by Suppressing AGEs-Receptor Axis. Horm Metab Res誌、2015年
(2)Renoprotective effects of canagliflozin, a sodium glucose cotransporter 2 inhibitor, in type 2 diabetes patients with chronic kidney disease: A randomized open-label prospective trial. Diab Vasc Dis Res誌、 2018年
(3)SGLT2 阻害薬ルセオグリフロジンの腎機能障害合併2 型糖尿病患者に対する有用性の検討. 診療と新薬、2018年
(4)Effect of canagliflozin, a sodium glucose co-transporter 2 inhibitor, on cisplatin-induced nephrotoxicity in mice. Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol誌、2019年
(5)SGLT2阻害薬ダパグリフロジンの腎保護効果の可能性:尿中L-FABP、尿中アルブミンに対する影響. 糖尿病、2019年

詳細はこちら>>


▼IUC入室患者の治療転帰を含めた重症化リスク判別、敗血症患者の予後予測、血液浄化療法による治療経過の評価にも、尿中L-FABPが活用されています!

詳細はこちら>>


メールマガジン3月配信号もご参照下さい>>


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■L-FABPとは?FAQ よくある質問■
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POC Kit
Q6 粘性のある尿検体をPOCで測定することは可能ですか?
A6
粘性のある尿検体はメンブレンの網目状構造を通過できず液止まりを起こしたり、流速が通常より極端に遅くなることがあります。このような検体においては正しい測定結果を得ることができないため、定量キット「レナプロ(R)L-FABP テスト」での測定をお勧めします。

ほかにも、L-FABPについて、検体、測定、製品の性能・操作、保険収載情報など、
よくお寄せいただくご質問をまとめたFAQはこちら>>


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■L-FABP関連文献ピックアップ■
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慢性腎臓病(CKD)、急性腎障害(AKI)、薬剤性腎障害(Toxicology)、薬理学(Pharmacology)、運動(Exercise)、日本語総説、ガイドラインなど、に分類したL-FABP関連の最新論文をご紹介します。

▼Renal expression and urinary excretion of liver-type fatty acid-binding protein in cats with renal disease. J Vet Intern Med. 2020

詳細はこちら>>


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■L-FABP 展示会・講演会情報■
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今後開催される、L-FABP 展示会・講演会情報です。

▼第84回日本循環器学会学術集会
新型コロナウイルス感染拡大のためオンラインでの開催となりました。
【Web展示会】会期:2020 年7 月初旬~2020 年12 月末(予定)

【ランチョンセミナー12 LS12】
開催日:未定
会場:未定
演題:「内科系心臓集中治療室における急性腎障害:尿中L-FABP濃度測定の臨床的意義」
座長:宮内 克己 先生
(順天堂大学医学部臨床研究支援センター/順天堂東京江東高齢者医療センター循環器内科)
演者:石井 潤一 先生(藤田医科大学医学部 臨床検査科)
共催:シミックホールディングス株式会社/積水メディカル株式会社

その他学会・展示会情報はこちら>>


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■L-FABP製品に関する資料請求のご案内■
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L-FABP製品に関する動画、文献、パンフレット、資料などをお届けいたします。
資料送付をご希望の方は、下記よりお申し込みください。
▼医療スタッフ向け資料送付のお申し込み(無料)


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■お知らせ■
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▼News Letterについて
新たに下記のNews Letter (論文ピックアップ)をL-FABP情報サイトに掲載致しました。ぜひご覧ください。

【No.13】
救命救急における尿中L FABPの臨床的意義
International Journal of Emergency Medicine 誌、2019年

【No.14】
尿中L FABP は内科系心臓集中治療室入室患者の長期的な有害転帰の独立予測因子
Journal of Clinical Medicine 誌、2020年

【No.15】
尿中L FABPは高血圧患者における主要心血管イベント発生の予測因子
American Journal of Hypertension誌、2020年

詳細はこちら>>


▼資料請求について
上記News Letterに加え、下記の非臨床News Letter No.1も新たに資料請求いただけます。ご希望の方はお気軽にお問い合わせ下さい。

【非臨床News Letter No.1】
尿中L-FABPは自然発症2型糖尿病モデルラットにおける腎微小循環の血流量低下と虚血状態を反映する
Kidney and Blood Pressure Research誌、2019年

詳しくはこちら>>


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■編集後記■
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先月緊急事態宣言が発令され、先日から少しずつ解除され始めてすでに日常を取り戻されはじめている方もおられるかと思いますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。解除後も第二波の恐れがあるとのことなので、解除後も個人ができることをし、少しでも感染拡大の防止に努めましょう。
慣れない自粛生活で、ストレスが溜まりやすいかと思いますが、お体に気を付けてお過ごしください。(大竹)
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SGLT2 阻害薬と尿路感染症の関連について検討している論文の多くでは,尿路感染症の①診断基準,②

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